ハンターマップ

鳥獣被害
渥美半島周辺

安全・鳥獣保護のために

ハンターマップはインターネットから誰でも閲覧可能だが、
猟師が現地で使用(電波の不通)するために紙でも毎年支給される。
その用途は大まかに

  • 狩猟可能な場所か否か
  • 狩猟可能であればどのような種類の猟が可能か

を把握するためにある。

猟師は毎年、狩猟を希望する地域の各都道府県知事に申請・許可が必要(狩猟者登録という)で、
そのためハンターマップも都道府県別となっている。
当たり前だが、
日本全国津々浦々のマップをわざわざ紙で支給されては不便で仕方がないからだ。

マップの見方は基本的に

  • 赤色・・・何があろうとも絶対に狩猟してはいけないよ
  • 青色・・・禁止している猟具では狩猟してはいけないよ
  • 白色・・・十二分に安全に配慮するなら狩猟して良いよ

といった具合になっており、自分と師匠に限っての話だが、赤色に近い場所では絶対に狩猟をしない。
地図の見方を誤ったり、獲物を追う事に夢中になり、
『いつの間にか可猟域から出てしまって禁止区域で狩猟をしていた』
といった事態を避けるためだ。

また、禁止区域の中には鳥獣保護区だけでなく、
学校等の人口の多い居住区も当然含まれる。
近隣住民の安全を脅かす事がないように、
まずここなら人は入るまいと思われる場所を選ぶ事にしている。
(それでも何があるか分からないので極力注意する)

なるべく人気の少ない所で狩りをする事には、
自分達にとって不要なデメリットを生み辛くするという意味もある。
許可された区域で許可された方法であっても、
狩猟に全く興味を示さないどころか、嫌う・恐れる方がいるかも知れない。

仮にそういった方々が銃声を聞きつけ、万が一、警察に通報でもされてしまったら・・
こちらが全く法を犯していなくても、
誤解を解くために膨大な手間と時間を要して楽しい1日は台無し。
今後その猟場で狩りをしようとは思わないだろう。
猟をさせて頂いているという思いも大事だが、趣味を楽しむ事も大事。
地図上で狩猟が許可された区域内がどれだけ広範囲であったとしても、
実際に自身や周囲が安全に狩猟をする事が出来る領域を見つけ出すの事は中々に難しい。

だから自分のような新人は、師匠のような大先輩のコネ・ツテを頼る事が多い。
凡例だけでは見えてこない、安心して狩猟を楽しめる場所を彼等は知っている。

許可区域

赤色・・・狩猟禁止区域

  • 鳥獣保護区・・・文字通り鳥獣保護のための区域により狩猟が禁止されている。
    (以下、環境省HPより)
    鳥獣保護区は、環境大臣が指定する国指定鳥獣保護区と、都道府県知事が指定する都道府県指定鳥獣保護区の2種類があります。 環境大臣又は都道府県知事は、鳥獣保護区の区域内で鳥獣の保護又はその生息地の保護を図るため特に必要があると認める区域を特別保護地区に指定することができます。
  • 鳥獣保護区特例保護地区・・・狩猟の禁止に加え、土木関連作業まで禁止されている。
    (以下、環境省HPより)
    ○環境大臣が、鳥獣の保護の見地からその鳥獣の保護のため重要と認める区域を鳥獣保護区に指定。
    ○鳥獣保護区内においては狩猟が禁止されるほか、特別保護地区内では一定の開発行為を規制。

上記二種の区域の違いを知る猟師は少数派かも知れない。
ただ、とにかく狩猟をしてはならないという事は皆が絶対に知っている。
https://www.env.go.jp/nature/choju/area/area1.html

山間部は狩猟可能な地域(無着色)が広い

青色・・・指定猟具による狩猟禁止区域

  • 特定猟具使用禁止区域・・・危険予防の観点から指定猟具による狩猟が禁止されている。
    (以下、環境省HPより)
    狩猟に伴う特定猟具による危険予防のため、特定猟具による狩猟を禁止又は制限する。
  • 指定猟法禁止区域・・・鉛中毒等による被害から鳥獣を保護する観点から禁止されている。
    (以下、環境省HPより)
    鳥獣の保護のため、鉛銃弾等の指定猟法が禁止される。

青色区域に関しても自分達はあまり近づかない。
特定猟具使用禁止区域の立て看板は「特定猟具使用禁止区域(銃)」という記載を良く目にする。
基本的に罠猟を行う自分達としては狩猟可能ではあるのだが、
仮に大物の猪が罠にかかり、安全確保のため銃を用いて仕留めたい場合にその手段が塞がれる。
怪我の危険性が一気に跳ね上がるため避けるようにしている。
https://www.env.go.jp/nature/choju/hunt/hunt2.html

白色(無着色)・・・狩猟可能区域

大自然に囲まれた県と大都会のそれとでは、ハンターマップの着色度合いがまるで変ってくる。
猟師にとっては白色区域が広い方が当然良いのだが、安全最優先のため文句を言う訳にもいかない。
上述の通り、多くの人が暮らす場所ではこちらとしても気を楽にして獲物を追う事ができない。

見方を変えれば良い点もある。
交通インフラ等、より都市部に近い地域で生活する事で普段から自分達も多大な恩恵を享受している。
万が一、怪我や事故があっても助けを呼びやすいし病院に駆け込みやすい。

それでもジレンマは多少ある。
師匠に良く言われる。
「昔はこの辺一帯みーんな真っ白だったんだ。それがどんどん色が増えて塗り潰されちまった。」
駆除といった側面を除けば、そうそう歓迎される物ではないのだろう。

狭まる狩猟可能区域

猟師としてはまだまだ新人の域を出ないので、15年20年とマップの変遷を追った事はない。
だから、どれだけ猟師が身動きを取り辛くなったのかは先輩方のお話を聞いて学んでいる。

禁止区域が広がった大きな原因は家屋の増加だとよく耳にする。
新しく住居が出来て人が生活する場所が増えれば、それはそのまま狩猟禁止区域の拡大に繋がる。
そこは完全に止むを得ない理由だと思う。

ただ、こうも耳にする。
「一度禁止された区域がまた白色になるとは思わない方が良い。」
やはり自身で追った事がないのでそれが本当なのかは分からないが、
それがもし事実とすれば、その点に関しては大いに疑問を感じる。

過疎化が深刻な地域も禁止区域のままなのか?

高齢化と少数化が著しいハンター。
そして鹿や猪の爆発的な増加。
そういった要因による農林水産物の被害拡大を食い止めるため、国はハンターを増やしたがっている。
そして、その影響を受けて自分のようにメディアから狩猟の世界に入った若手は多いようだ。

そういった世情を考えると、
過疎区域における鳥獣被害は、もう近隣住民には手に負えない状態になっているのではないだろうかと感じる。
そのような状況でも、一度は禁止されたからと、その区域では未来永劫狩猟を禁止し続けるのだろうか?
鳥獣は増えすぎても減り過ぎても困るから捕獲頭数が定められる。
であれば狩猟区域ももう少し柔軟に調整できないだろうか?
毎年あちこち変更していては猟師としても対応ができない。
ごく一部からになるだろうが禁止区域を解除する目安等が定められている物なのか気になる。

国の対応がとにかく悪いなどど非建設的な話をしたいのではない。
鹿や熊はその時代によって、国や都道府県が捕獲の許可と規制を繰り返している。
環境省によると鹿の規制が始まった元々の原因は明治期の乱獲による激減だそうだ。
熊も一部地域では絶滅したと認定されているが、こちらも要因の1つが乱獲と言われる。

農林水産業の被害規模に対し国の対応が遅いという声は多いが乱獲・・
密猟が後を絶たず禁止された猟具もある。
つまり猟師自ら自分達の首を絞めた結果が今現在の状況でもあるのだ。

どうしたら被害がもっと少なくなるのか。
どうしたら狩猟をもっと楽しめるのか。
趣味として始めた身ではあれど、自分に出来る事は何かよく考える。
これからも勉強していきたい。

捕獲数の制限

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鳥獣被害
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エセ神戸は小食です意外ですねでもSNSは食い物ばかりアップしています。

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